
・性的な欲求がほとんどないって言いにくい…

・「ラベリングしたくない」っていうのもありなの?
こんな疑問にお答えします。
この記事で分かること
・LGBTQとセクマイの違い
・セクマイに含まれる多様な属性(アイデンティティ)
・無理にカテゴライズしない“あり方”の選択肢

「自分の感覚が普通と違う気がするけど、どこにも当てはまらない…」そんなふうに感じたことがある方も多いかもしれません。
LGBTQとセクマイの違いとは?
「LGBTQ」は、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クィア/クエスチョニングの頭文字を取った言葉で、性的指向や性自認の代表的なカテゴリを示します。
一方「セクマイ(セクシュアルマイノリティ)」は、それらを含みつつも、より広い意味を持つ概念です。
例えば「恋愛感情がわかない」「特定の状況でしか欲情しない」など、LGBTQには収まりにくい感覚や属性もセクマイに含まれます。
つまり、LGBTQはセクマイの一部であり、セクマイは“多数派でない性のあり方”すべてを含む包括的な言葉です。
「普通」に収まらない感覚を持つすべての人にとって、自分を表現する選択肢のひとつとして「セクマイ」という言葉は存在しています。
セクマイの中でも注目されるアイデンティティたち
セクマイの中には、LGBTQという枠組みに当てはまらない多様なアイデンティティが存在します。
こうした属性は一見「少数派すぎる」と思われがちですが、実は「なんとなくしっくりこない」と感じてきた人たちにとって、自分を理解する手がかりとなる存在です。
それぞれ詳しく解説していきます。
デミセクシュアル(デミ)
デミセクシュアルとは、強い信頼関係や情緒的なつながりを築いた相手に対してのみ性的な欲求を抱く人のことを指します。
「見た目がタイプだから好き」「一目惚れした」といった一般的な感覚には当てはまらず、関係性の深まりが前提になります。
「性欲がないわけではないけど、誰にでも湧くわけではない」と感じる人が、自分の感覚を言語化する上で参考になるアイデンティティです。
グレイセクシュアル(グレイ)
グレイセクシュアルは、「基本的には性的欲求をあまり感じないけれど、まれに例外的に感じることがある」という人を指します。
「性的に無関心な日が多いけど、たまに誰かに惹かれることがある」といったグラデーションのような感覚を持つ人が該当します。
白黒では分けきれない“曖昧さ”を大切にするアイデンティティであり、「どちらにも当てはまらない」と悩む人にとって安心材料になるかもしれません。
アセクシュアル(無性愛)
アセクシュアルは、他者に対して性的な欲求を基本的に感じない、あるいは全く感じない人のことを指します。
性的関係を望まないだけでなく、恋愛感情を持つかどうかとは別の軸で語られることが多いです。
「性的なことに興味がない自分は変なのかな」と感じている人にとって、自分の感覚に名前があると知ることで、安心につながる可能性があります。
アロマンティック(アロ)
アロマンティックは、他者に対して恋愛感情を抱かない、もしくはごくまれにしか感じない人を指します。
「誰かと一緒にいたいとは思うけど、恋愛関係には興味がない」「友人としては好きでも恋人にはなりたくない」というような感覚を持つ人も含まれます。
恋愛を前提としない人間関係のあり方を尊重し、自分に合ったつながり方を大切にする考え方です。
デミロマンティック
デミロマンティックは、信頼関係や深い情緒的なつながりを築いた相手にのみ恋愛感情を抱く人のことを指します。
初対面での恋愛的なときめきや、外見に惹かれる感覚はほとんどなく、関係性が築かれた後に恋愛感情が芽生える傾向があります。
「恋愛が遅れてやってくる」「急に人を好きになることがない」と感じる人にとって、共感できる考え方のひとつです。
グレイロマンティック
グレイロマンティックは、「基本的には恋愛感情を抱かないが、まれに例外的に抱くことがある」という人を指します。
恋愛に対して無関心な自分に違和感を覚えたり、周囲と同じような感覚を持てずに悩んだ経験がある人にとって、自分の感情を説明する上で役立つアイデンティティです。
「恋愛ができないわけじゃないけど、頻度や強さが違う」と感じる人にも当てはまります。
リスロマンティック
リスロマンティックは、他者に恋愛感情を抱くことはあるものの、その感情が相手から返される(両想いになる)ことで逆に気持ちが冷めてしまう人を指します。
「片想いのままでいたい」「好かれると気持ちが引いてしまう」といった感覚が特徴です。
恋愛関係に進展することを望まない傾向があり、自分の恋愛感情の“矛盾”に悩んでいた人が、安心感を得られることもあります。
リスセクシュアル
リスセクシュアルは、他者に性的な関心を抱くことはあるものの、それが実際に相手に受け入れられたり性的関係に発展すると興味を失ってしまう人を指します。
「妄想の中では性的に惹かれるけど、現実では気が進まない」と感じる人に多い傾向があります。
性的欲求と行動が一致しないことで悩む人にとって、自分の感覚を整理するためのヒントになる概念です。
「私はセクマイかも?」と思ったときに知ってほしいこと
「自分は誰にも恋をしないのかも」
「性的なことに興味が持てない」
そう感じたとき、まず知っておいてほしいのは“それもひとつの普通”だということです。
周囲に同じような人がいないと、「自分だけおかしいのでは」と不安になりがちですが、実際には多くの人が同じような悩みを抱えています。
セクマイの世界には、多様な感覚を言語化したラベルが存在し、自分の気持ちを表現する手がかりになるでしょう。
無理に自分を決めつけなくても、少しずつ「心地よいあり方」を見つけていくことで、自分を大切にすることができます。
無理にラベルをつけなくてもOK、心地よい表現を選べばいい
ラベルは「自分を理解する手がかり」にはなっても、「自分を縛るもの」であってはなりません。
セクマイの中には、多様な属性やアイデンティティがありますが、それらに必ず当てはめる必要は無し。
「自分は無性愛者かもしれないけど、はっきりとは言い切れない」といった“あいまいな状態”も、立派なあり方のひとつです。
何も名乗らない、あるいはその時々で使い分ける、という選択も自由。
大切なのは、自分にとって心地よい表現を見つけ、無理のない関係性を築いていくことです。